西洋における言語学はホメロスの詩を正しく読むために興り、文法はその1つの成果です。中世においてはgrammarグラマー「文法」は「魔法」も意味しており、「これを学べば何やらいろいろと書き連ねてある書物というものが読める」ということで不思議で仕方がなかったらしく、これがglamourグラマー「魅力」「魔力」の語源ともなっています。すなわち、文法を学ばなくても会話はできますが、読書をするためには文法は不可欠の知識であり、文法力はボキャブラリー力(単語・熟語・慣用句等の語彙)と合わさって読解力に結実するのです。これはどんな言語を学ぶにおいても同じであり、仏文法は仏文を読むための魔法となり、独文法は独文を読むための、漢文法は漢文を読むための、古文法は古文を読むための、それぞれ魔法となるのです。そして読解力はそのまま作文力のベースとなることは言うまでもありません。それでは、文法の基礎概念をいくつか見た上で、文の種類から入っていきましょう。
（１）品詞
英単語は何十万語もありますが、文中での働きによっていくつかの品詞に分類することができます。名詞、代名詞、冠詞、動詞、助動詞、形容詞、副詞、前置詞、接続詞、関係詞、疑問詞、間投詞等がそれです。
（２）句と節
2つ以上の語が集まって、1つの品詞の働きをするもののうち、S(主語)・V(述語動詞)を含まないものを句と言い、名詞の働きをする名詞句、形容詞の働きをする形容詞句、副詞の働きをする副詞句があります。また、S＋Vという文の要素を含んでいますが、自身が文の一部になっているものを節と言い、等位接続詞で結ばれている等位節と、主節及びそれに対する従属節があります。従属節には名詞の働きをする名詞節、形容詞の働きをする形容詞節、副詞の働きをする副詞節があります。
（３）文
文には単にある事柄を述べる平叙文、質問に用いられる疑問文、命令や依頼を表す命令文、強い感情を表す感嘆文の4種類があります。平叙文・疑問文・命令文にはそれぞれ肯定文・否定文があり、感嘆文には肯定文しかありあません。
①平叙文：普通はS+Vの語順になりますが、倒置形もあります。
My book is on the desk.(私の本はその机の上にあります。)
There is a vase on the desk.(机の上に花瓶があります。)：There is構文は不特定のものの存在を表します。特定のものの存在には使えません。thereは副詞なので厳密には倒置形ですが、thereはあたかも主語のようにふるまったりします。
Here’s your key.(ほら、君のカギだよ。Here is構文も倒置形ですね。)
Here you are.(はい、どうぞ)/Here we are!(さあ、着いたぞ！)
②疑問文：be動詞疑問文はV+S、一般動詞疑問文はDo（Does, Did）+S+V、助動詞疑問文は助動詞＋S+Vの語順となり、Yes, Noで答えます。選択疑問文は答えを選択して答えます。5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)の疑問詞疑問文は聞かれた内容について答えます。
Is this a bike?(これは自転車ですか？)－Yes, it is.(はい、そうです。)
Is that a bike?(あれは自転車ですか？)－No, it is’t.(いいえ、違います)
Do you have a piano?(あなたはピアノを持っていますか？)－Yes, I do.(はい、持っています。)/No, I don’t.(いいえ、持っていません。)
Can you swim?(あなたは泳ぐことができますか？)－Yes, I can.(はい、できます。)/No, I can’t.(いいえ、できません。)
Is this a desk or a table?(これは机ですか、テーブルですか？)－It’s a desk.(机です。)
Who is that man?(あの男の人は誰ですか？、名前や身分・人間関係を聞いています。)－He’s my father.(私の父です。)
What is that man?(あの男の人は誰ですか？、職業を聞いています。)－He’s a police officer.(警察官です。)
What time is it now?(今、何時ですか？)－It’s eight o’clock.(8時です)
What day is (it) today?(今日は何曜日ですか？、曜日を尋ねています。)－It’ Monday.(月曜日です。)
What’s the date today?(今日は何日ですか？、月日を尋ねています)－It’s October 3.(10月3日です。)
How do you go to school?(あなたはどうやって学校へ行きますか？)－I go (to school) by bus.(バスで行きます。)
How old～？ 何歳ですか？
How tall～？ 身長はどれくらいですか？
How long～？ 長さはどれくらいですか？
How much～？ 値段はいくらですか？
How often～？ 回数・頻度はどのくらいですか？
How many＋複数名詞～？ いくつの～？(数を尋ねます。)
How about～？ ～はどうですか？
③命令文：肯定文は動詞の原形で、否定文はDon'tやNeverで始めます。Let's～は「～しよう」と誘う時に用います。
Please open the window.(どうぞその窓を開けて下さい。)
Don’t open the wiondow.(その窓を開けてはいけません。)
④感嘆文：形容詞＋名詞を強めるwhat感嘆文と、形容詞・副詞を強めるhow感嘆文の2種類があります。What＋a＋形容詞＋名詞＋S＋V！、How＋形容詞・副詞＋S＋V！という形を取ります。
What a clever boy Jim is!（ジムは何と利口な少年なのだろう。）
How clever Jim is!（ジムは何と利口なのだろう。）
How fast he runs!（彼が走るのは何と早いことだろう！）
【間接疑問文の語順は平叙文と同じ】
疑問詞節として動詞の目的語になる場合は平叙文と同じ語順S＋Vになります。これを間接疑問文と言います。
I don’t know what this is.(私はこれが何であるかを知りません。)
【念を押したり、同意を求める付加疑問文】
平叙文の文末に疑問形をつけて、「～ですね」と念を押したり、相手に同意を求める時に用います。肯定文には否定の疑問形を、否定文には肯定の疑問形をつけることに注意しましょう。命令文の付加疑問文には文末にwill you?をつけ、Let's～で始まる文にはshall we?をつけます。
Jim is a good student, isn't he?(ジムはよい学生ですね。)
He doesn't like music, does he?(彼は音楽が好きではありませんね。)
Give me a chair, will you?(いすを取って下さいね。)
【混乱する否定疑問文への答え方】
否定疑問文に答える時は、Yes, Noの使い方に注意しなければいけません。英語では問いが肯定でも否定でも、答える内容が肯定ならYes、否定ならNoで答えます。
Don't you see those stars?(あれらの星が見えないのですか？)－Yes, of course.(いいえ、もちろん見えます。)/No, Where are they?(ええ、どこにありますか。)
否定疑問文ではありませんが、同様に答え方が混乱しやすいのがDo you mind～？疑問文です。mindは「気にする」という意味なので、「～するのは嫌じゃないですか？」ということになるのですが、アメリカ人の子どもでも間違いやすいそうです。
Do you mind eating at McDonalds?(マクドナルドで食事しましょうか？)－Yes!(イヤだ！)/No!(行きたい！)
【反語的な修辞疑問文】
形は疑問文ですが、反語的に平叙文に等しい意味を表します。
Who knows?(誰が知っているだろうか。いや、誰も知らない)＝No one knows.
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