数学力アップ講座

15、空間図形の基本

問題です。「地球上のある地点から真南に10km行き、その地点から真東に10km行き、そこから真北へ10km行くと、何と元の場所に戻っていました。さて、こんな所があるのでしょうか?」

正解は北極です。ただし磁極のずれはここでは考えません。ざっくりといきましょう。平面図形では三角形の内角の和は180°ですが、空間図形では三角形の内角の和がこの問題のように、90°+90°+90°=270°になることもあれば、逆にへこんだ曲面では180°より小さくなることだってあるのです。平行な2直線も、平面図形ならどこまで行っても交わりませんが、空間図形なら交わってもおかしくありません。ここに「ユークリッド幾何学」から「非ユークリッド幾何学」への大きな飛躍があり、アインシュタインの相対性理論なども「非ユークリッド幾何学」の存在なくして生まれなかったのです。


2直線の位置関係:
①同じ平面上にある場合~「交わる」か「平行」の関係になります。
②同じ平面上にない場合~「ねじれの位置」の関係にあると言います。

直線と平面の位置関係:「直線は平面上にある」「交わる」「平行」のいずれかになります。ちなみに平面Pと交わる直線Lが、その交点Oを通る2つの直線m, nに垂直になっていれば、直線Lは平面Pに垂直となり、直線L上の点Aと交点Oを結んだ線分AOの長さを点Aと平面Pの距離と言います。

2平面の位置関係:「交わる」か「平行」かのいずれかになります。例えば、1つの直線に垂直な2つの平面は平行になります。また、2平面P, Qが交わる時、交わりの直線XY上の点Oから、平面P上でOA⊥XY、平面Q上でOB⊥XYとなるような直線OA, OBを引く時、∠AOBを平面P, Qのつくる角と言います。特に∠AOB=90°の時、P⊥Qとなります。

柱体:底面が三角形、四角形、…ならば、三角柱、四角柱、…と言い、底面が正三角形、正方形、…ならば、正三角柱、正四角柱、…と言います。底面が円なら円柱と言います。

錐体:底面が三角形、四角形、…ならば、三角錐、四角錐、…と言い、底面が正三角形、正方形、…ならば、正三角錐、正四角錐、…と言います。底面が円なら円錐と言います。

角柱、円柱の体積:V=Sh (Sは底面積、hは高さ)
角錐、円錐の体積:V= 1 3 Sh(Sは底面積、hは高さ)
球の表面積:半径rの球の表面積はS=4πr2となります。
球の体積:半径rの球の体積はV= 4 3 πr3となります。
回転体:1つの直線を軸として平面図形を回転させてできる立体のことです。円柱や円錐の側面を描く線分を母線と言います。例えば、円錐の底面の半径がr、母線の長さがR、側面積がSならば、S= 1 2 ×2πr×R=πrRとなります。
多面体:平面だけで囲まれている立体のことです。その面の数によって、四面体、五面体、六面体、…などと言います。多面体のうち、どの面もみな合同な正多角形で、どの頂点にも面が同じ数だけ集まっており、へこみのないものを正多面体と言います。
投影図:立体を真正面から見た図(立面図)と真上から見た図(平面図)を組にして表した図のことです。実際に見える線は実線で示し、立体の影になって見えない線は破線で表します。


【立方体の切断】
公務員試験などでもよく見られますが、「立方体の切断面の図形はどのようになるか?」といった問題があります。平面図形の認識はそれほど難しくないのですが、空間図形の認識はなかなか大変なものがあり、イメージするのがやっかいです。ちなみに立方体の切断に関しては、「料理のお手伝いをよくする子」の正答率が高いそうです。その理由は豆腐を切ったりする経験が多いからだとのことですが、本当かなあ~?
(例題)ABCD-EFGHの立方体で、点M, Nはそれぞれ辺AB, BCの中点です。この立方体を、①3点M, N, Fを通る平面で切る時、②3点M, N, Eを通る平面で切る時、それぞれその切り口はどのような図形になるでしょうか?
(答え)
①MF=NFの二等辺三角形になります。
②MN//EG, ME=NGの台形(等脚台形)になります。
ちなみに立方体を1つの平面で切断すると、その切り口には三角形、四角形、五角形、六角形のいずれかが現われます。