数学力アップ講座

14、円の性質

円は曲線図形の中の代表的なものですが、周囲が同じ長さの図形の中で面積は最大となります。ところで、円を縦横何列にも重ねていくと、すき間が生まれてしまいます。そこで縦にぎゅっと、横にもぎゅっと力を加えてすき間をなくしていくと、六角形の層ができます。ハチの巣が六角形の集合体になっているのも、こういう所からくるわけですね。これなら最小限の材料で最大限のスペースを生み出せるということです。
あるいは、マンホールのふたが四角形ではなく、円形であるのは、円の中に円の直径より長い直線を引くことができないからで、こうなると円形のふたは穴に落ちることは絶対にありません。四角形の場合には、四角形の中に対角線など、どの1辺よりも長い直線を引くことができてしまうため、四角形のふたは穴に落ちてしまうことがあるのです。


円周角の定理:1つの弧に対する円周角の大きさは一定で、その弧に対する中心角の半分になります。
∠APB=∠AQB ∠APB= 1 2 ∠AOB

直径と円周角:半円の弧(弦は直径)に対する円周角は90°になります。
∠APB=90°

円周角の定理の逆:4点A, B, P, Qについて、P, Qが直線ABと同じ側にあり、∠APB=∠AQBであるならば、この4点は同一円周上にあります。

円に内接する四角形:円に四角形が内接する(4つの頂点が円周上にある)時、次のことが成り立ちます。
①対角の和は180°になります。
②外角はそれと隣り合う内角の対角に等しくなります。

四角形が円に内接する条件:次の条件のいずれかが成り立つ四角形は円に内接します。
①1組の対角の和が180°の場合。
②1つの外角がそれと隣り合う内角の対角と等しい場合。

接弦定理:円の接線とその接点を通る弦のつくる角は、その角の内部にある弧に対する円周角に等しくなります。

方べきの定理:①②の時、PA×PB=PC×PD、③の時、PA×PB=PT2となります。これらをまとめて、方べきの定理と言います。


【地球の円周を図った人】
古代ギリシアの学者エラトステネスは、地球が球形であることから地球の円周を測りました。エラトステネスはエジプトのアレクサンドリアに住んでいましたが、アレクサンドリアでは夏至の日の正午に太陽が頭の真上(天頂)より7.2°南に傾いて南中することを知っていました。一方、アレクサンドリアから5000スタジア(約925km)南にあるシエネ(現在のアスワン)では、夏至の日の正午に太陽の光が井戸の底を明るく照らす(天頂に来る)ことが書物により知られていました。この2つの知識により、アレクサンドリアでの太陽の傾きの角度はアレクサンドリアとシエネを弧とする地球の円の中心角と同じになることが分かるため、次のような計算をしたのです。
5000スタジア(2点間の距離=弧の長さ)=地球の円周× 7.2 360
地球の円周=5000× 7.2 360 =5000×50=25000スタジア(約46250km)
実際の地球の円周は約40000kmですから、数字のずれはそれなりにありますが、よくぞ計算したものです。