数学力アップ講座

12、三角形の性質

三角形は直線図形の中の最小角形であり、他の直線図形は全て三角形の和から成ります。そして、日常生活の中でも多く使われている図形です。例えば建築においても、四角形の構造は真上からの力には耐えられても横や斜めからの力に弱いのに対して、三角形の構造は横や斜めからの力にも強いのです。そのため、東京スカイツリーや東京ゲートブリッジなどでも三角形構造が多用されており、一般の家でも柱に斜めに板を張り付けて三角形構造を作り、強度を増す工夫をしたりしています。
あるいは三角形の性質を測量術にそのまま使うこともできます。例えばある川の幅を測りたければ、45°・45°・90°の直角二等辺三角形の3辺の比が1:1: 2 であることを使うと、簡単に知ることができます。川の向こう岸に目印になるようなものを見つけ、そこから手前側の岸が直角になる位置を決めてから、岸辺を歩いて、向こう岸の目印と手前側の岸の間の角度がちょうど45°に点を探せばいいのです。こうすれば、歩いた距離と川幅が同じ長さになりますから、測るのは簡単でしょう。


三角形の表記:三角形ABCを△ABCと書きます。
多角形:三角形、四角形、五角形、…のように線分だけで囲まれた図形を多角形と言い、全ての辺の長さと角の大きさが等しい多角形を正多角形と言います。
鋭角:0°より大きく、90°より小さい角のことです。3つの角が鋭角である三角形を鋭角三角形と言います。
直角:90°の角のことです。1つの角が直角である三角形を直角三角形と言います。
鈍角:90°より大きく、180°より小さい角のことです。1つの角が鈍角である三角形を鈍角三角形と言います。
三角形の内角:三角形の内角の和は180°です。
三角形の外角:三角形の外角は、それと隣り合わない2つの内角の和に等しくなります。∠a+∠b=∠c。
n角形の内角の和:180°×(n-2)となります。
多角形の外角の和:どんな多角形でも、その外角の和は360°となります。これは覚えておくと便利です。
二等辺三角形:底角は等しくなります。頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分します。

三平方の定理:直角をはさむ2辺の長さをa, b、斜辺の長さをcとする時、a2+b2=c2という関係が成り立ちます。よく出てくる直角三角形の3辺の比として、例えば次のようなものがあります。
①(3, 4, 5)~32+42=52(9+16=25)
②(5, 12, 13)~52+122=132(25+144=169)
③直角二等辺三角形の3辺の比=1:1: 2 ~この比は覚えておくと便利です。平面図形や立体図形で辺の長さを求める時に駆使します。高校数学で三角比を扱う時にも重宝します。
④1つの角が60°の直角三角形の3辺の比=1:2: 3 ~この比は覚えておくと便利です。平面図形や立体図形で辺の長さを求める時に駆使します。高校数学で三角比を扱う時にも重宝します。

三平方の定理の逆:三角形の3辺の長さをa, b, cとする時、a2+b2=c2が成り立てば、その三角形は長さcの辺を斜辺とする直角三角形となります。
2点間の距離:三平方の定理の応用になります。点A(x1, y2)と点B(x2, y2)の間の距離はAB= x 1 - x 2 2 + y 1 - y 2 2 (x座標の差の2乗とy座標の差の2乗を足して平方根をとったもの)になります。

三角形の面積:S= 1 2 ahとなります。
ヘロンの公式:三角形の各辺の長さがa, b, cである時、s= a + b + c 2 であるとして、三角形の面積S= s s - a s - b s - c となります。3辺の長さしか分からない時に面積を計算するのに便利です。
(例)三角形の3辺が8, 15, 17の時、s= 8 + 15 + 17 2 40 2 =20となり、 S= 20 20 - 8 20 - 15 20 - 17 20 × 12 × 5 × 3 3600 =60となります。
三角形の外接円:外接円の中心を外心と言います。外心は三角形の3辺の垂直二等分線の交点です。外接円の半径は外心から頂点までの長さです。
三角形の内接円:内接円の中心を内心と言います。内心は三角形の3つの角の二等分線の交点です。内接円の半径は内心から各辺に引いた垂線の長さです。