「数学の帝王」と称されたドイツの天才数学者ガウスによれば、「数学は科学の女王であり、数論は数学の女王である」ということになるのですが、「数」そのものの性質を扱う数論の分野はなかなか奥が深いものがあります。そのガウスも小学生の頃、先生から「1から100までの数を全部足しなさい」という問題を出され、クラスの子どもたちが悪戦苦闘して足し算をしているに対し、あっという間に答を出してしまったと言います。相当時間はかかるだろうと思っていた先生が不思議に思って、「どうやって計算したのか?」と聞くと、ガウス少年は「1から100まで並べて、そこに100から1まで新たに加えてそれぞれ足していくと、1+100=101、2+99=101、…100+1=101で、101の組が100個できるから10100となり、ここで1から100までの数を2回足したことになるので、10100÷2をして5050となります」とこともなげに答えたそうです。他の子ども達が一生懸命「算数」をやっていた時に、彼1人が「数学」をやっていたわけですね。ガウスの計算は幾何的には、(上底+下底)×高さ÷2で求める「台形の面積」と同じことですし、代数的には「等差数列の和」ということになります。
後に多くの公式や概念にその名を残すことになるガウスですが、ある時、ドイツの有名な旅行家でアマチュア科学者であったフンボルト男爵が、フランスの有名な数学者・物理学者であるラプラスに「誰がドイツ最大の数学者だろうか?」と尋ねたところ、ラプラスはしばらく考えた後、ガウス以外の名前を1人挙げました。すると、フンボルトが驚いて、「でも、ガウスがいるじゃありませんか?」と問うと、ラプラスは「おお、ガウスは世界最大の数学者ですよ!」と答えたということです。
自然数(natural number):1、2、3・・・。正の整数とも言います。-1、-2、-3・・・は負の整数と呼ばれます。元々、「数」(number)は「数える」(count)という動作・行為と不可分な関係にありますから、数の出発点は1, 2, 3, ・・・といった「個数」や「順序」を表わす「自然数」になります。ただ、民族によって、区別しているのは「1」「2」「多」だけであったり、「100以上」を表す概念は無かったりするわけです。
整数(integral number):正の整数、負の整数、及び0を合わせたものです。自然数だけだと「引き算」で無理が生じてきます。「ある数」から「同じ数」を引けば「0」になってしまいますし、「より大きな数」を引けば「負の数」が出て来るからです。実際、現実生活における「数える」という行為の中だけでは、「0を3個持ってきて」とか「バナナを-3本ちょうだい」などということはあり得ないわけです。そこで、「0」(これはインドで発見され、アラビアでこの表記を得ました)と「負の数」(negative number、これも商取引などの必要性からインドで発見されました)を加えて、「整数」なる概念が現われ、従来の「自然数」はその中の「正の数」(positive number)であると認識されるようになりました。そして、ここから「数直線」(number line)が登場してくるわけです。
倍数と約数:整数aが整数bで割り切れる時、つまりa=b×q(qは整数)となる時、aをbの倍数、bをaの約数と言います。
公倍数:2つ以上の整数に共通な倍数のことです。
最小公倍数:公倍数の中で最も小さいものです。
公約数:2つ以上の整数に共通な約数のことです。
最大公約数:公約数の中で最も大きいものです。
素数:1とその数以外に約数の無い数のことです。
素因数:素数である因数(積を作る各式)のことです。
素因数分解:自然数を素因数の積に分解することです。
【0の発見】
自然数なるものは「存在」(有)を表していますが、これに対して「無」というものがあると気付いた人がいます。これがいわゆる「0(ゼロ)の発見」です。これは数学史上の大発見とされますが、取りあえず、この「ゼロの発見」と「数字表記」(文字記号ではなく、アラビア数字による表記)の2つによって、「何も無いものを表現する」ことだけでなく、「非常に大きな数を表現する」ことも可能になったのです。例えば、1から100ぐらいまでの数でしたら日常的に使う範囲ですので、それぞれに名前を付けて100個の名称(数詞)を覚えることも可能でしょう。場合によったら1,000個ぐらいいけるかもしれません。ところが、これが1万、10万、100万、1千万、1億・・・と巨大な数になってきたらどうでしょう。それらを全て1つ1つ別物として扱うことはまず不可能な話です。ところが、「0」という表記を使うと、1,0000、100,000、1,000,000、10,000,000、100,000,000・・・とシンプルに表記することが可能になります。参考までにアラビア数字表記と漢字表記と比較してみましょう。
参考例:五億六千三百五十七万三千二百三十二=563,573,232
【の計算】
①加(足し算):を加えても数は変化しません。○+0=○ということです。
②減(引き算):を引いても数は変化しません。○-0=○ということです。ここまではいいですね。
③乗(掛け算):を掛けるとどんな数も必ずになります。○×0=0ということです。注意。
④除(割り算):で割ることはできないとされます。○÷0は不可ということです。要注意。逆に0をどんな数で割っても0になります。0÷○=0ということです。これも注意。
これらを「なぜか?」と問い始めると、数学の根幹に関わるほど難しいテーマとなってしまいますので、とりあえず「こういうものだ」「こういうルールになっている」と割り切りましょう。例えば、「なぜ、サッカーはゴールにボールを入れないといけないのか?」と問うても仕方がないのと一緒です。そういうルールにしてスポーツとして成立させたのですから、仕方がないのです。ちなみにサッカーの場合、「どうして手で持ってはいけないのか」という疑問から、ラグビーという新しいスポーツが生まれました。数学も根本的な所に疑問を持つと、根本的な革新が生まれる可能性がありますので、その道に行きたい人は心ゆくまでどうぞ。従来、手に負えなかった「無限」を数学が取り込むことに成功すると、「無限論」が現代数学を限りなく豊かにしたように、このやっかいな「0」を数学がうまく取り込むことに成功すれば、「0論」がこれからの数学を豊かにしてくれるかもしれません。
【知っておくと便利な割り切れる数】
①2で割り切れる数(2の倍数)=1の位が偶数。
例:210, 312, 4564, 35676, 468098,…
②3で割り切れる数(3の倍数)=各位の数を和が3で割り切れる。
例:210~2+1+0=3(3で割り切れるので210は3の倍数です)、4564~4+5+6+4=19(3で割り切れないので4564は3の倍数ではありません)、35676~3+5+6+7+6=27(3で割り切れるので35676は3の倍数です)、468098~4+6+8+0+9+8=35(3で割り切れないので468098は3の倍数ではありません)
③4で割り切れる数(4の倍数)=下2ケタが4の倍数か00。
例:104, 300, 512, 716, 820, 924, 1036, 1540,…
⑤5で割り切れる数(5の倍数)=1の位が0か5。
例:100, 205, 310,…
⑥6で割り切れる数(6の倍数)=2の倍数と3の倍数の組み合わせ。
例:312~3+1+2=6(1の位が偶数で、かつ各位の和が3で割り切れるので、312は6の倍数です)
⑦9で割り切れる数(9の倍数)=各位の数の和が9で割り切れる。
例:35676~3+5+6+7+6=27(9で割り切れる)、468098~4+6+8+0+9+8=35(9で割り切れない)
⑧11で割り切れる数(11の倍数)=1つおきの位の数の和が等しい。
例:543279~5+3+7=4+2+9(11で割り切れる)
【最小公倍数と最大公約数の出し方】
【負の数の計算】
①負の数を引く時は+に転じます。
例:(+4)-(-3)=4+3=7
②負の数と負の数をかけると+になります。
例:(-4)×(-3)=+12
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